医療ブランディング(メディカルブランディング)は
医療機関の理念や考え方に基づき、医療価値を高め、地域との共有価値を創造することを指します。
医院経営は大変厳しくなっています。少子高齢化や低迷する経済状況、医療技術の進歩などに加え、出来高払いから包括払い、老齢に伴う疾病構造の変化、顧客意識の変化により、脳外科病院など専門病院の間でも市場の奪い合いが激化しているのが現状です。実際に公立病院の8割弱が赤字に陥っており、不採算部門の整理や病院の再編成が急速に進んでいます。
保険で成り立つ日本の医療制度の下で均一的な医療サービスを提供していると、ブランディングは必要無いと考える経営者も少なくありませんが、患者満足度に影響すること(信頼感、医療技術、コミュニケーション、医療設備など)はブランドを考えるうえで重要な要素になります。患者は、治療方法や健康サービスの利点、医療機関がコミットしているかどうか、自分と同じ経験をした人の意見などで医療機関や医療サービスを選択します。特に患者の体験は、重篤な疾患になるほどネット上で検索されるようになりました。医療機関は診療内容や病棟の特徴、リハビリテーションの種類、さらには地域特性が異なるため、患者が医療機関を選びやすくなるという意味でも必要であると私たちは考えています。
拡大を遂げてきた大きな医療機関でも、外部環境の変化により医院のブランドが陳腐化する可能性があります。総合病院として発展してきた場合には、医療政策の地域包括ケアシステムへの移行やキュアとケアの融合、情報システムの浸透に大きな影響を受けます。医療行政の影響が大きい医院経営においては、医療技術の変化同様に、患者の変化、社会で起きている多くの変化を捉えて対応すること、リスク回避が重要であり、それに対応し得るブランディングは重要な取り組みなのです。
医療ブランディングは、医療価値を高め、地域との共有価値を創造するため、次の5つのフェーズに分けて行います。